無骨なる 殻に潜みし 牡蠣の艶 幸一
【特選】 一九
牡蠣の殻の表と裏の対比を大変綺麗に表現しております。
【特選】 青
昨年末に生牡蠣を頂きました。無理に貝を開けようと
すると牡蠣がいやいやして、なかなか開けられず苦労
しました。艶という表現が良いですね。脱帽です。
【準特選】 想花
繊細な思いのこもった句だと思います。殻と中味を更
めて見るという行為は考えてみたこともありませんでした。
それを句に出来る感性に感心しました。
【準特選】 燕青
この句を見た瞬間、思わず牡蠣(厚岸産)が食べたく
なりました。(笑)絶妙なる表現です。
【準特選】 俊輔
いいところに眼をつけましたね。
おそらく牡蠣を食べていたのでしょう。
【準特選】 仁
牡蠣の殻は、生牡蠣で戴くときに身と一緒に出てきます。
殻の中側の白い部分を“きれいだな”とは思ったことは
ありますが、外側の色はゴマフアザラシ模様みたいで、
形状はごつごつしており、うっかりすると手を切りそうです。
その牡蠣をこのように旨く料理(・・)されることに脱帽。
さらに“しずみ”を「潜」、“いろ”を「艶」と漢字でも唸らせて
くれます。
【並選】 馬風
巧い!言い得て妙です。
【塾長評】
中身の方に目を奪われ、しげしげと殻を眺めることは
ありませんが、確かに牡蠣の殻は無骨です。
色、柄、凹凸、どれをとっても「美」というものとほど遠い
ところにあります。しかしながら、その無骨さに乳白色の
妖艶な実が潜んでいるのですから、自然の妙かもしれ
ません。
句は思わず「巧い」と唸らせます。技量炸裂の一句です。
入院の 母待つ庭の 黄水仙 幸一
【特選】 冨美子
水仙の句の中では、これが一番好きです。私自身の
この一年を振り返り、じいんとくるものがありました。
【準特選】 馬風
お母さんはガーデニングがお好きなんでしょうね。
早い快癒が待たれます。
【準特選】 桂介
庭に咲く水仙と共に母の退院を一日千秋の思いで
待ち続けます。
黄水仙の密やかさに、母恋の切なさが重なります。
一家を明るさは母が元気であるかどうか・・・、本当に
そう思います。
しみじみとした佳い句を有難うございました。
【並選】 想花
水仙に託してお母様のお帰りを待つ作者の優しさが
素敵です。
【並選】 仁
早く病気が治って退院して家に帰って来て欲しいとの、
子から母への思いが強く伝わってきます。
黄水仙は、母が自ら植えたものなのでしょうか。
黄水仙の花が沢山咲いている間に、早く母親が帰って
来られるようにと願っているのでしょう。