俳句2008年 毎日一句集

【一席 総得点 15点】 
 
無骨なる 殻に潜みし 牡蠣の艶   幸一
 
【特選】 一九
牡蠣の殻の表と裏の対比を大変綺麗に表現しております。
 
【特選】 青
昨年末に生牡蠣を頂きました。無理に貝を開けようと
すると牡蠣がいやいやして、なかなか開けられず苦労
しました。艶という表現が良いですね。脱帽です。
 
【準特選】 想花
繊細な思いのこもった句だと思います。殻と中味を更
めて見るという行為は考えてみたこともありませんでした。
それを句に出来る感性に感心しました。
 
【準特選】 燕青
この句を見た瞬間、思わず牡蠣(厚岸産)が食べたく
なりました。(笑)絶妙なる表現です。
 
【準特選】 俊輔
いいところに眼をつけましたね。
おそらく牡蠣を食べていたのでしょう。
 
【準特選】 仁
牡蠣の殻は、生牡蠣で戴くときに身と一緒に出てきます。
殻の中側の白い部分を“きれいだな”とは思ったことは
ありますが、外側の色はゴマフアザラシ模様みたいで、
形状はごつごつしており、うっかりすると手を切りそうです。
その牡蠣をこのように旨く料理(・・)されることに脱帽。
さらに“しずみ”を「潜」、“いろ”を「艶」と漢字でも唸らせて
くれます。     
 
【並選】 馬風
巧い!言い得て妙です。
 
【塾長評】
中身の方に目を奪われ、しげしげと殻を眺めることは
ありませんが、確かに牡蠣の殻は無骨です。
色、柄、凹凸、どれをとっても「美」というものとほど遠い
ところにあります。しかしながら、その無骨さに乳白色の
妖艶な実が潜んでいるのですから、自然の妙かもしれ
ません。
句は思わず「巧い」と唸らせます。技量炸裂の一句です。
 
 
 
【二席 総得点 11点】
 
【三席 総得点 9点】
 
入院の 母待つ庭の 黄水仙   幸一
 
【特選】 冨美子
水仙の句の中では、これが一番好きです。私自身の                
この一年を振り返り、じいんとくるものがありました。
 
【準特選】 馬風
お母さんはガーデニングがお好きなんでしょうね。
早い快癒が待たれます。
 
【準特選】 桂介
庭に咲く水仙と共に母の退院を一日千秋の思いで
待ち続けます。
黄水仙の密やかさに、母恋の切なさが重なります。
一家を明るさは母が元気であるかどうか・・・、本当に
そう思います。
しみじみとした佳い句を有難うございました。
 
【並選】 想花
水仙に託してお母様のお帰りを待つ作者の優しさが
素敵です。
 
【並選】 仁
早く病気が治って退院して家に帰って来て欲しいとの、
子から母への思いが強く伝わってきます。
黄水仙は、母が自ら植えたものなのでしょうか。
黄水仙の花が沢山咲いている間に、早く母親が帰って
来られるようにと願っているのでしょう。
 
 


無と無限 枯芝つづく 禅の面 
鳥居越し 橙派手に 実りけり 
ミキサー車 寒の水にて 泥落とす 
菰巻きの 上よりくねる 松の幹
水飲みの 蛇口光らす 春の風
ビル街や 風花浴びて 立つ屋上
運転席 座れば目に入る 淡紅梅 
沈丁花 咲きましたよと 受講生
春風や バスストップの 時刻読む
どんぐりと 犬の糞ある 枯野かな 
呑み込んで 黒の艶増す 寒烏 
春寒し テニスのネット 人を待つ
身もだえの 木立を包む 風の花
微笑んで ガス晴れ見上ぐ 雪の道
音になる 乾きの果ての 枯葉かな 
着ぶくれて もそもそ揺るる 杉木立
裸木や 天の恵みを しかと受く
雪だるま 朝日の空へ 帰りゆく
枇杷の木の 下に輝く 寒椿
ベランダの 刷毛塗り塗装 冬うらら 
隧道の もぐれる崖の 枯野かな 
取り皿に 豆をこぼして 鬼やらひ 
レッスンに 喜びもらい 冬うらら 
隠れゆく雪山惜しみつつ進む 
お裾分け この味だったか 牡丹鍋
冬の灯や 雨は蜂蜜 とろとろと 
葉牡丹や シンバル一打 迫り来る <2月>
半眼の 猫と並んで 日向ぼこ 
寒風に 真っ赤になりし すべり台
凍てる夜 鼻毛のそよぎ 気にかかる 
草の芽や乾きに霧吹くレバー引く

言うべきか 言わざるべきか 懐手
凍てる日や 震へる仔猫 足に寄る
本日さわやかコンサート200回達成
 200回 証しに抱く 冬薔薇 (1月25日
日輪を 孵化さする巣や 枯木立  
一羽二羽 鷺の飛び立つ 寒の梅 
高橋猛さんがお亡くなりになりました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
 眼に刺さる 悔やみ欄なり 霙の夜
寒燈を 包む湯けむり 仕舞い風呂
失念や 大粒過ぎる 冬の雨
木枯らしや 声発しつつ 湯に浸かる 
白き息 押しのけ走る 寒稽古
累代の 墓の裏手に 石蕗の花
時雨るるや 荷を運び込む ドア開くる 
短日や 笑い頷き 講話聴く
寒の海苔 撓み耐えず 折れにけり  
寄り添えば 思ひの叶ふ 冬銀河
腐葉土を 持ち上げ伸びる 猫の草
橙の 片面光る 時雨かな 
草の芽の はっきり見え出す 小半日
さんざめく 生垣続く 寒椿
身のうちの 火を持て余す 猫の恋
パックより はみだす七草 切られけり 
注連飾り さわれば裏白 粉々に
すじおでん 大根(だいこ)と紛(まが)う 柔らかさ  
おでん鍋 話の尽きぬ ふた家族
そう言えば 新年歳時記 出してなし 
真鶴に 水辺輝く 十一羽 
初稽古 妻の支度を 待ちわびて <1月1日>

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