音楽だより♪272
エスプレシボ
第2回俳句大会 竹内幸一
昨年に引き続き、サンシティー音楽院 新春メール俳句大会が開かれました。その結果を、皆さまにお届けします。選句、選評を読むことで、また違った鑑賞の視点のあることが分かる場合もあります。どうぞごゆっくり俳句の面白さを味わってください。(特選3点、準特選2点、並選1点と言うことで互選をし、結果を発表しています)
【第一席】
餅をつく今日こそ祖母の晴れ舞台(長月)16点
特選 幼稚園で餅つき会がありおばあちゃんたちの見事なえとりや餅切りに感心したからです。(アクアビート)
特選 張り切って餅つきを仕切るおばあちゃんの姿と指示に従って手伝う孫達との和やかな場面が目に浮かびます。我が家でも毎年餅つきは母の采配で行われ、今のうちに手順を覚えなければと言いながらいつまでも元気で母の晴れ舞台であって欲しいと願っています。(雪うさぎ)
特選 年末には実家で餅をついて正月を迎えていましたが、ばあちゃんの手際の良さ、張り切った笑顔が浮かびます。(四苦八苦)
準特選 若い方の作品でしょうか、それとも子供に託けて自分の気持ちを詠ったのでしょうか。誇らしげな顔が浮びます。(林歌)
準特選 今の若いもんはへっぴり腰で餅もよう搗かん。「はーい!おばあちゃんお願いしま〜す」 手水を入れるリズムのよさに「おばあちゃん すご〜い!と感嘆の声があがります。まんざらでもないおばあちゃんの控えめな笑顔が見えます。(ゆめ女)
準特選 私も老いた母あり 昔取った杵柄 サスガ・・・(白狼)
並選 大晦日は、スーパーには、いくらでもある餅だけど、餅をつくだけに燃えている祖母の姿があふれています。(どろんぱ)
【第二席】
まっすぐに私に向けて初日の出 (ゆめ女) 15点
特選 そうです今年はポジティブに!私だけを見てくれていると思うのは勝手です。よ〜し頑張るぞと力が湧いてきます。(林歌)
特選 年の始めに清々しい希望が感じられました。(鉄太郎)
準特選すがすがしい、希望に溢れた気分のいい句です。(寒雀)
準特選素朴な感情がよく現れていると思います。 こうして人は新たな希望を抱き新年のスタートを切るのでしょう。(わんこ)
準特選 夢と希望に満ちた若々しさを感じます。(四苦八苦)
準特選 まわりには人が沢山いるのだけど、なぜか、自分だけに、輝いてくれている。そう思い願かけている、まわりのざわめきは耳にははいらないから一人きりの世界かも(どろんぱ)
並選
毎年初日の出は拝みます その通り(白狼)
【第3席】
わんぱくな子等も正座のお年玉 (雪うさぎ) 9点
特選 その時だけの、子供たち、そして正座の後は、また部屋の中を走り回る姿が見えます。私に孫がいるから見えるのかな。(どろんぱ)
特選 今日はお正月、なんてったってお年玉を貰う楽しみが一番!子供達は神妙に正座。それが可愛い。でもちょっとは有り難味も分からせなくてはね。渡す方も貰う方も幸せな元旦ですね。(ゆめ女)
特選 『いつもはとても腕白な男の子たちが(私の弟3人)、静かにお父さんの前に正座して待っている様子』が目に浮かび、ほほえまし感じました。(ハッピー)
<佳作>
お年玉 孫はまだかと ドアのノブ (林歌) 6点
天国へ銀杏落葉の道続く
(寒雀) 5点
三姉妹 正座をさせて お年玉 (寒雀) 3点
年玉を渡し手と手の触れ合いぬ (長月) 3点
ねたさがす箸もせりあう鍋のなか(どろんぱ) 3点
寄鍋やゆらり豆腐のたよりなさ(雪うさぎ) 3点
湯煙も目に鮮やかに新たまり (白狼) 3点
寄せ鍋の 満足感じる 雑炊で (鉄太郎) 3点
おぶわれしその児も参加書初めに (わんこ) 2点
初春や 掛軸の翁 舞ってをり (雪うさぎ) 2点
寄せ鍋を 囲む人欲しき 夕餉かな (林歌) 2点
鼻水につまむちりしが二枚とれ (どろんぱ) 1点
寄せ鍋も賑わいもなし侘び住まい (わんこ) 1点
寄鍋や いただく命の 数思ふ (寒雀) 1点
お年玉 縁なき今も ポチ袋 (ゆめ女) 1点
新年の挨拶も兼ね音鳴らす(アクアビート) 1点
お年玉 受け取る子らに笑みうかび(鉄太郎) 1点
とうちゃんの小遣いよりも桁違い(四苦八苦) 1点行儀よく 両手揃える お年玉 (白狼) 1点
お年玉いまだ手を出すニートたち(どろんぱ) 1点
いかがでしたでしょうか。俳句の楽しさや面白さが少しでもお届けできたら幸いです。俳句にしようと思って初めて見えてくることがあります。漫然と見過ごしているまわりの、ちょっとした景色を見つけられるのは、新しい喜びになりますね。
今回は「寄鍋」「お年玉」の兼題と自由題の3句と言う事でメール募集をし、その後選句選評をいただいて、このような結果となりました。 整理の都合上現在はメールだけで行っています。メールをお持ちの方で、参加ご希望の方がおられましたら、どうぞ次回の開催には仲間になってください。
また、投稿のできる雑誌のご紹介も3つほど出来ます。この機会に、よ〜しと思われる方は、どうぞご連絡下さい。俳句仲間になりましょう。
<行事予定>
■第47回エチュード・ファミリー・クラブ例会
2月12日(日曜夜7時)サンシティー音楽院
■ほのぼの歌声サークル
2月8日・22日 水曜日午後2時から。
■第177回 さわやかコンサート
2月24日(金)鶴見病院 6時40分〜
■第9回 ハーモニアス歌声サークル「野ばら」
2月15日(水)午前10時半〜
■オペラ鑑賞 歌劇「さまよえるオランダ人」(135分)
2月26日(日)午後1時半〜
<500円>
■ミュージカル鑑賞会 錨を上げて「キャバレー」
2月19日(日)夜7時半〜<500円>
■第23回 春の音楽祭 4月29日 サザンクロス
選曲はお済でしょうか?ちょっとむつかしいけど・・自分史に残る思い出の曲を、このチャンスに作りましょう。いつも毎年、4月29日のあなたの演奏が、あなたの最高なのです。その歴史をまた刻んでください。高望みはしなくていいのですが、あなたのできる範囲で、行ける所までは・・・行きましょう。
●ルベックスペシャルのお知らせ
2月4日(土)楽譜作成大会 夜7時西部
ハサミ・糊持参。以後定例の土曜日練習あり。
サンシティー音楽院レッスンお休みのお知らせ
祭日お休み 2月11日(土曜日)
【お知らせ】
文芸誌 文礫(ぶんれき)発売!
竹内幸一俳句作品等が掲載されています。300円です。よろしければお買い求めをお願いします。
リレー随筆 132
わたしとピアノ
ピアノ科 ひらのかすみ(5さい)
わたしは、4さいからピアノをはじめました。おねえちゃんのみずきちゃんがやってるのをみて、やりたくなりました。
ピアノをならっていて、たのしいことは、ワークブックとかしているときとか、いっぱいあるよ。かなしいことはないよ。
しょうらいのゆめは、ピアニストになることです。むかしのうたとかオレンジレンジとかのすきなきょくも、ピアノでひいてみたいです。
さいごにひとこと…せんせい、だいすき。
四陸七海レポートJ ギター科 村上昭子
〜ラバウル編〜
とうとう最後の寄港地ラバウル(パプアニューギニア)に入港しました。島の人口より多くの人たちが船に乗って来ることから、遠くから警戒しつつ興味津々に覗いている姿は、今までにない光景でした。
ラバウルは、ニューブリテン島の北端に位置し、第二次世界大戦の激戦区ともなり、日本語の単語をいまだに覚えている年配の男性も居るという日本と深い歴史のある国です。1994年には、火山の大噴火に覆われ町の大半が火山灰の下に埋まったままで、少しずつ復興しているとは言え、交通機関もなく整備されてないデコボコ道が続いています。
自由行動は困難なため私は、火山の近くの温泉に入るツアーに参加しました。移動の車は、日本で言う八百屋の軽トラで、乗れるだけ乗り込みデコボコ道を隣の人とぶつかりながら行くと言う日本では経験できないことをしました。温泉は海水で水着で入ると言う不思議な感じでしたが、船の中で3ヶ月近くシャワー生活だったことから久しぶりの湯船に大満足し、2時間近く入ってました。
午後からは自由行動だったので、歩いて市場に行きました。市場と言っても広場にフリーマーケットみたいに個々にスペースを設け、葉っぱの皿に果物や野菜、おばちゃんたちが着るワンピース、鮮やかに染められた糸や布が広がっているものです。見ているだけで楽しくなり、日本では見たことのない果物がたくさんあった為、珍しく私は大量に買い込みました。味の想像付かない果物は友達と物々交換し、中には吐き出すほどマズイものもありましたが、それも楽しく感じました。
ラバウルは今までの寄港地の中で一番素朴な国で、市場で見た子供たちのはにかんだ笑顔はかわいく、映画で見る戦後の日本に近い感じがしました。一日の寄港地でしたが、充実したものになりました。
ドイツ徒然草<1> 竹内宏子
昨年の夏にドイツへ行った時の事を徒然なるままに書きたいと思います。すでに記憶も薄れがちで申し訳ないのですが、少しでもドイツのことをお伝えできればと思います。
今回は…「音の風景」〜駅編〜
ドイツで音に関してまず感じたのは「静かだな〜」ということ。勿論、私の過ごした所だけかも知れませんが。
♪静かだな〜の例え:パート1「駅」
日本の駅では「電車が入ります、白い線まで下がって云々…」など、親切(?)な駅内アナウンスがたくさん、しかも声高に流れます。でもドイツの駅内では、必要最低限しか流れません。電車が入ってくる前に、しぶ〜い男性の声で「☆番ホーム、◎◎行き電車、○時発」とボソボソ言って、それで終わり。このぼそぼそアナウンスに、ドイツ語の聞き取りがすこぶる達者な(笑)私は、始終悩まされる羽目に…。「え?マンハイム?マインツ?何時?え?」と一人あたふた。そんな焦る私の心とは裏腹に、駅内はとても静かに時間が流れていきます。すぅっと電車が来て、車掌さんが「ピッ」と笛を一吹きして、電車がまたすぅっと出て行く。そこには、必要以上の音はありません。電車のガタンゴトンという音だけが心地よく響いていました。
今回は、駅の様子をご紹介しました。日本よりドイツが良かったと思ったわけではありません。特に駅では乗換えアナウンスが少ないので、外国からの人にとっては不便かなと思います。実際私は、何度となく「一か八か!」と賭けて電車に飛び乗ったものです。その点日本では、日本語・英語(最近は韓国語も?)で路線の説明をしてくれますからね。とは言え、日本でも私は乗換えがよく分かりません。
CDレコーディング実況! 竹内竜次
この度、フォレストヒルレコーズよりCDをリリースさせて頂くことになりました。レコーディングは1月11日〜13日に、福岡あいれふホールにて終えていますが、編集とジャケット撮影などが残っているので、発売は4月ごろの予定です。
レコーディング中の秘話、取り上げた曲への思いなどを次号より書いていこうと思っています。請う、ご期待。
Jan
12,
2006
レコーディング中
福岡舞鶴にある「あいれふホール」で竹内竜次(りょうじ)さんのCD録音(フォレストヒルレコーズ)が行われています。内容的にも充実したプログラムでした。出てからのお楽しみですね。CDは出来てしまえば一時間ほどの作品ですが、出来上がるまでの過程は途方もない時間と努力が費やされています。出来上がりが楽しみ。(大萩康司さんのブログ「大萩康司のココ最近」より文・写真転載)
<新連載>俳句のときめき その2 竹内幸一
与謝蕪村は、1716年に大阪で生まれています。今から300年ほど前のことです。蕪村は、芭蕉、一茶と並び称される江戸時代の代表的な俳人です。画家としても名を成し、たくさんの文化財となる作品が現在に残されています。
その蕪村に関する一口エピソードは、娘「くの」に対する人間味溢れる、父子の情愛を取り上げてみましょう。
蕪村は45歳で結婚し、やがて一人娘になる「くの」が生まれます。以後、それこそ目の中に入れても痛くないという様子が、文章になって残されています。
2月から腕の痛みを訴え、治療を続けたけれども、なかなか良くならない。・・・はかばかしくないので、名医「鈴木多門」に診せる。・・・全快するというので安心する。・・・ 娘はいまだはかばかしくなく、この心情をお察ししていただきたい。
娘のこのごろはなはだ心良く、手の自由も大方よくなって、琴の稽古も少しずつ始めた。・・・
(蕪村61歳、娘が13歳のときに、三井の料理人柿屋伝兵衛の息子と縁談がまとまり結婚させます。)
当月娘をかたづけて、はなはだ忙しく、俳句もまったく出来ない暮らしをしております。来春よりは身も軽くなりますので、がんばります。
約半年後・・・娘の嫁ぎ先は、金儲けばかりをもっぱらする家で、気に入らない。いろいろ娘もやりにくくて嫌がっている。不憫に思い、取り戻しそうろう。・・・
当時は、出戻りということがはなはだ異常で、不利な事態になることは分かっていながら・・・蕪村は矢も盾もたまらず、娘を連れ戻してくるのです。年老いた蕪村(62歳)の、父親としての、幼い一人娘に対する溺愛?の愛情が、切なく胸に迫ってくる評伝が残っています。
やはり、蕪村は天性の詩人だったのでしょうね。純粋で汚れのないまなざしから、繊細、かつ壮大な自然をうたう、素晴らしい名句が生まれてきています。
牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片
春の海ひねもすのたりのたりかな
菜の花や月は東に日は西に