サンシティー音楽院 音楽だより♪ 
エスプレシボ
第237号 
3月号2003年3月1日発行・別府市南立石1の2 
発行者/竹内幸一  TEL 21-9167*FAX 21-9160 
ホームページ http://www10.ocn.ne.jp/~t1a0k2u6/
Email takesan@oregano.ocn.ne.jp


新世界へ   竹内幸一

 2月は5週目のお休みがないので、少し早めに新聞作成に取り掛かりました。ばたばたしていると、すぐ3月1日になりますからね。
 さて今月は「新世界へ」というタイトルです。そう、ドヴォルザークの作品に、皆さんよくご存知の「新世界より」というのがありますね。それをタイトルをいただいて、今回は、音楽入門のための、新しい音楽院の企画をご紹介しましょう。
 私は、一応音楽を仕事にしているのですが、かねてより、その音楽知識のなさに恥ずかしい思いを持っていました。ときおり、音楽団体などの会合に出ると、その中の人たちが、オーケストラや指揮者などのことについていろいろ話しています。それを聞きながら、何のことやら少しも分からない時間を小さくなって過ごすことがよくありました。その方々が、音楽以外の仕事や主婦の方ばかりなのに、なんだかとても音楽を楽しんでいるのが、うらやましくてなりませんでした。
 しかし、これではいかんなあ・・何とかしなければと思いながら日が過ぎていくばかりでした。そんなおり、あるきっかけで、プロジェクターのことを知りました。そうだな、音楽入門には、映像からがいいかなと考え、いろいろ検討していたのです。
 音楽に親しむのは、何しろたくさん聴くことだと思います。テレビのCMで取り上げられた曲が、必ずといっていいほど、ヒットするのは、とにかく耳にする回数が多いからです。ですから、一番いいのは(別府では余りありませんが、大分まで行けばかなりのコンサートがありますので)生の演奏を聴くことだと思います。ただひたすら回数を重ねるだけで、かなりいろんな音楽の楽しみが広がっていくことと思います。
 時間とお金を惜しまずどうぞ皆さん、いろんなコンサートに出かけてください。
 ☆音楽院関係もいろいろありますけど★・・
 しかし、それが出来れば一番いいのですが、私個人の場合、仕事柄いわゆるアフター5という時間の自由になる日が残念ながら1日もないのです。何かで動こうと思うと、生徒さんに変更のお願いをしなければなりません。それが申し訳ないとか面倒とか言う気持ちになると、余程のことでなければ出かけようとしなくなるのです。
 では、解説書を読みながらCDを聴けば・・・・となるわけですが、これがまた相当強固な意志がなければ出来ることではありません。ついついながら聴きになって、結局何を聞いたか分からないままになります。ぼんやり聴いていると、疲れで眠くなって、なかなか最後まで行き着きません。
 そこで、生のコンサートに代わる次善の策として、映像を見ながら音楽を聴くというために、思い切ってプロジエクターというものを今回導入しました。プロジエクター(SONY シネザVPL=HS10):DVDやビデオを映像にして映すもの。ホームシアターセット(BOSE LS-PRO):音響機材。スクリーン(キクチSBSR-100HDG):映像を映す幕で、100インチ。ビデオ(ビクターHR-S600)・・・・とそろえましたので、これから大いに利用しなければと、自分に言い聞かせているところです。今いろんなDVD が出てますので、これで時間をきっちりとったら、少しずつ音楽の世界に入り込めるかなあ?と淡い希望を持っているのですが・・・さて?
 そこで、音楽院の新企画の発表です。

よちよち音楽入門鑑賞講座 開講!

 な〜んもわからん?という方のための、音楽鑑賞の集いです。要するに、私一人では最後まで見ることが出来ないので、だれか一人でも一緒に付き合ってくれる方がいればといようなことです。

●時.3月30日(日曜日)昼の部 午後2時から
                夜の部 午後7時から
●所.サンシティー音楽院 A教室
●今月の鑑賞曲
  交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
 (ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮 ヘル ベルト・フォン・カラヤン)
●曲目の聴き所、作曲に関するエピソード、作曲者 についてなどのお話(竹内幸一)
 約20分
  DVD鑑賞 44分。  約1時間の講座です。
●受講料 500円(資料とお飲み物付き)
●昼夜とも、各10名程度先着順に受け付けます。ご 一緒に、音楽の<新世界>100インチの映像で  遊びましょう。
*これから月に1回程度開催予定です。オペラや、  音楽家に関する映画なども取り上げたいと思って  います。

<行事予定>
■第142回 さわやかコンサート
3月28日(金)鶴見病院6時40分

■第12回エチュード・ファミリー・クラブ例会 3月9日(日曜日午後7時)1周年新企画として、ご希望の方1名だけ30分以内のミニリサイタルを開催することになりました。
 今月は、小学校卒業記念 本田慧(ほんださとい)ピアノミニリサイルを開催します。
 どうぞ応援してください。一般の方の演奏もありま す。
◎ミニリサイタル
予約受付中です。(1年後まで予約できます)

■サンシティー音楽院講師演奏会
   3月8日土曜日午後2時・シャンテドール
     お土産ケーキ付き 1000円
  音楽院の講師が出演します。生徒の皆さん応援してください。お待ちしていま
す。

■稲垣稔ギターリサイタル
   3月17日(月)夜7時よりBコン中会議室

■ギターフェアー開催
  3月23日(日)〜30日(日)
  ラクに音が出て、いい音でしかも大きく響くギターがあります。腕をカバーして
くれる生涯の財産をこの機会にお求め下さい。ご予算に応じた楽器をお取り寄せしま
す。その何本かから選べるのは、フェアーの時だけです。

■春の音楽祭 4月29日サザンクロス
  曲目の準備は進んでいますか。3月25日が締め切りになっていますので、担当
の先生とご相談の上、早めにお申し込みをお願いします。

●ルベックスペシャル告知板 
 3月は毎週土曜日5回練習があります。
☆レッスンお休みのお知らせ
 3月21日は祭日でお休みです。
 3月29・30・31日は5週目のお休み。

リレー随筆91


K君への手紙

  ギター科  河野  大

 K君、ご無沙汰だが元気にしていますか。昨年は、まだ遠いさきのことのように思っていた還暦をむかえて、正に「光陰矢のごとし」を実感している。君のほうはお孫さんの守りで、悠々自適の生活おくっているようでなによりだな。
 僕は1年半くらい前からギターを先生についてならっている。文字通り60の手習いといったところだが、幸い先生がとてもやさしくて基本をみっちり教えてもらっているので、毎日が楽しく過ごせる。感謝している。
 何十年ぶりかにギターを手にしたその瞬間、若かりしころの思い出が鮮やかに甦った。それはただ単に記憶が甦ったということだけでなく、なんといったらいいのか当時の感覚がリアルに甦ってきた。君と学生寮の2段ベッドの上下で貧乏生活していたころが、懐かしく甦ってきた。受験勉強で精力を使い果たし、裏成り瓢箪のような顔をして大学に入学し、その反動、虚脱感からギターを買い求め古賀正男の独習本で独学独習、まったくの我流で、皆に弾いて聞かせたな、覚えているだろ。
 君とは小学校、中学、大学まで一緒だったけど、僕らの子供時代は正直言って音楽とはあまり縁がなかった。終戦後まだまもない時期で皆んな食べるのに精一杯で、せいぜいラジオから流れてくる三橋美智也や、大ヒットした春日八郎の「お富さん」なんかを聴いて口ずさむくらいだった。しかし、学生時代になってからはよく音楽を聞いて楽しんだな。当時ソニーから小型で値段も手ごろな、もっとも学生にとっては高価なものだったが、新型のテープレコーダが売り出された。家庭教師のアルバイト何ヶ月分も貯めて買い求め、ラジオからクラシックや軽音楽を録音して何度も繰り返して聞いたよな。
 君はクラシックが好きで、僕は軽音楽をよく聴いた。君がよくクラシックを聴いていたおかげで僕は「門前の小僧」で今でも有名な曲はたいがい聞き覚えがある。
 こっちは一時アルゼンチンタンゴにはまってモレスの「さらば草原よ」やフィルベルトの「カミニート」、サボリードの「ラ・モロチャ」などなど色々聴いていた。中でもカスティージョの「黄昏のオルガニート」が好きでよく聴いたものだった。その後コンチネンタルタンゴのモダンで洗練された感じに惹かれたが、やはりアルゼンチンタンゴの何か哀感のある素朴な感じが好きで、またそちらに戻ったりしたものだった。しかし、あのタンゴのメロディーで踊るタンゴダンスのなんと官能的でエロチックなことか。音楽とそのダンスのギャップを感じるが、でもやはり、タンゴダンスはタンゴでなきゃという不思議さが面白い。
 クラシックの思い出といえば、高校時代、大学受験ラジオ講座で、最初に必ずハイドンの「時計」がかかっていたのを覚えているだろう。この年になっても、あの第A楽章の、大時計の時を刻む音を聴くと当時のことが昨日のことのように思い出されて懐かしさがこみあげてくる。
 音楽に限らず「音」の記憶は、視覚の記憶よりもはるかにつよく大きいものだと思う。頭脳の記憶のメカニズムは知る由もないが、音の記憶の貯蔵庫がひとたび刺激を受けると、その伝達物質の強さと広がりの大きさは他の感覚に比べて一桁違うような気がする。
 数学にしろ、物理学にしろ、当時の教養学部の講義のレベルがそんなに高くないと錯覚し、また、受験勉強の反動からけっこうサボった1年半だった。最初にもちょっと書いたが、ギターを始めたのもこの頃で、始めた動機も純粋ではなかったが、あのころギターに触れたことが今につながっていると思うと良かったなと思っている。
 その後、社会人となって君は農林省の高級官僚に、僕はしがないサラリーマンとなり、それっきりギターはプッツリやめてしまった。だからギターを手にするのは実に三十数年振りなんだ。仕事一筋で終盤をむかえた人生を、今一度自分の本当の素直な気持ちで生きてみたい、そのきっかけとして、ギターに再チャレンジしたんだ。お互い残り少なくなった人生を大切にし、精一杯充実したものにしてやっていこう。元気でな。

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